「英邁」ドゥテルテと「トンデモ」トランプ。どこでこんなにも差がついたのか。
「ポスト・ドゥテルテ」はドゥテルテの長女
「ポスト・ドゥテルテ」は長女サラ。才女で盤石の態勢
トランプ政権のトンデモにすぎるスタートに対し、半分以上の米国人は冷ややかな視線を送っている。トランプ政権発足時の支持率は歴代大統領の中で過去最低の40%代。トランプは2020年大統領選挙に早くも「再選」を息巻いているが、2020年には各州の選挙人数の配分が見直され、トランプの勝利に貢献したラスト・ベルト(錆の帯)地帯の各州の選挙人が減る。このように20年大統領選挙はすでに共和党にとって不利な状況が整っており、当然今般負けた民主党側も敗因を分析し、次こそはトランプに勝てる強力な対抗馬を用意するであろう。
他方、ドゥテルテは就任以後、比国民から80~90%におよぶ圧倒的な支持率を誇っている。実際、フィリピンを訪れて現地人にドゥテルテの印象を聞くと、彼を「嫌い」という人物にはお目にかかったことがない。それもこれも、フィリピンの構造的な闇、つまり薬物汚染・犯罪・汚職の撲滅に対しドゥテルテのダバオでの実績が素晴らしあったからである。フィリピン国民はポピュリズムに染まっているのではない。政治的実績を冷静に判断してドゥテルテを支持しているのだ。ドゥテルテは何から何まで、トランプとは違う。アメリカとフィリピンならば、あきらかにフィリピンのほうが民主国家といえるのではないか。
実は2016年の大統領選挙でドゥテルテがダバオ市長から大統領になったため、ダバオ市長の座はドゥテルテの長女、サラ・ドゥテルテが就任しているのだ。サラは父ドゥテルテと同じく弁護士資格を持つ才女で、父から帝王学の薫陶を受けている。ドゥテルテは映像では若く見えるが、もう70歳を超えている。このままいけば長期政権となるだろうが、マルコスのように約20年フィリピンに君臨する体力はないだろう。となると、ポスト・ドゥテルテは現ダバオ市長のサラ、ということになる。フィリピンはすでにコラソン・アキノ、アロヨという二人の女性大統領を経験している。サラが比国三番目の女性大統領になるのは何ら不自然な予測ではない。2020年以降、「ポスト・ドゥテルテ」は長女サラに禅譲されるのが妥当な線だろう、と予想しておく。
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